しまなみ海道・とびしま海道・ゆめしま海道を実走データで比較|距離・獲得標高・補給事情

しまなみ海道サイクリング サイクリングコース
この記事の距離・獲得標高・所要時間は、すべて管理人が実際に自転車で走って計測した数値です。公表されている概数と差がある場合は、その理由もあわせて解説しています。

瀬戸内には「海道」と名のつくサイクリングコースが3つあります。しまなみ海道・とびしま海道・ゆめしま海道です。

どれも島と橋をつないで走るコースですが、走ってみると性格はまったく違います。距離も、きつさも、補給のしやすさも別物です。

この記事では3海道を同じ物差しで並べ、自分に合うのはどれかを整理します。

結論:3つの海道はこう選ぶ

こんな人 おすすめ 理由
はじめて島を走る しまなみ海道 ブルーラインで迷わない。コンビニ・自転車店・レンタサイクルが揃う
途中でリタイアするかもしれない しまなみ海道 乗り捨て可能な拠点が15か所ある
車の少ない道を走りたい とびしま海道 / ゆめしま海道 どちらもサイクリストも車も少ない
静かに距離を踏みたい とびしま海道 90.2kmで1kmあたりの登りは3海道で最小
半日で完結させたい ゆめしま海道 41.18kmと最短。ただし坂は3海道で最もきつい
激坂を登りたい ゆめしま海道 弓削島に15%超えの激坂がある
補給の心配をしたくない しまなみ海道 とびしま・ゆめしまは補給ポイントが極端に少ない

3海道の実走データ比較

いずれも管理人が実際に走って計測した数値です。

コース 区間 距離 獲得標高 1kmあたりの登り 所要時間 島の数
しまなみ海道 尾道〜今治(片道) 72.25km 815m 約11.3m 4.5時間 6島
とびしま海道 呉〜岡村島(一周) 90.2km 858m 約9.5m 4.5時間 7島
ゆめしま海道 立石港発着(一周) 41.18km 729m 約17.7m — 3島※現在は4島
比較するときの注意が2つあります。
① しまなみ海道だけが「片道」です。尾道から今治まで走り切る前提の数値で、往復すると単純計算で倍になります。とびしま・ゆめしまは一周して出発点に戻る数値です。
② ゆめしま海道の41.18kmは「3島」を走った数値です。2022年3月20日に岩城橋が開通し、現在は岩城島を加えた4島がつながっているため、全島を回ると距離は伸びます。

距離が短い=ラク、ではありません

上の表で注目してほしいのが「1kmあたりの登り」です。獲得標高を距離で割った数値で、そのコースがどれだけ登り続きかを表します。

順位 コース 1kmあたりの登り 距離
1 ゆめしま海道 約17.7m 41.18km(3海道で最短)
2 しまなみ海道 約11.3m 72.25km
3 とびしま海道 約9.5m 90.2km(3海道で最長)

距離の順番と、きつさの順番が完全に逆転しています。

ゆめしま海道は「最短なのに最もきつい」

ゆめしま海道は41.18kmと3海道でもっとも短いコースですが、1kmあたりの登りはしまなみ海道の約1.6倍、とびしま海道の約1.9倍です。

理由は弓削島にある2本の激坂です。どちらも平均勾配7%で、北エリアには序盤に15%を超える区間があります。

ヒルクライム区間 距離 獲得標高 平均勾配
弓削島 北エリア 1.77km 123m 7%(序盤に15%超)
弓削島 南エリア 1.09km 80m 7%

「41kmなら半日で軽く回れる」と考えて行くと、想定を大きく超えます。

とびしま海道は「最長なのに最も緩やか」

逆にとびしま海道は90.2kmと3海道で最長ですが、1kmあたりの登りは約9.5mで最小です。橋へのアプローチに勾配のきつい坂がありますが、それ以外の海沿いはほとんどフラットです。

所要時間がしまなみ海道(72.25km)と同じ4.5時間なのも、平坦な区間が長いためです。

1. しまなみ海道(広島県尾道市〜愛媛県今治市)

しまなみ海道のサイクリングコース

はじめて島を走るなら、まずここです。

項目 内容
距離(実走) 72.25km(尾道〜今治 片道)
獲得標高(実走) 815m
所要時間(実走) 4.5時間
島の数 6島
道案内 路面のブルーラインをたどるだけ
レンタサイクル ターミナル13か所+乗り捨て専用2か所=計15か所

最大の強みは「やめられる」ことです。途中で疲れても、怪我をしても、時間が足りなくなっても、15か所の拠点で自転車を乗り捨てて公共交通に切り替えられます。はじめての長距離で、この安心感は大きな差になります。

激坂を回避する裏ルートがあります

当サイトでは、大島・伯方島・因島の3か所で分岐を変える裏ルートを解説しています。距離はほぼ変わらないまま、獲得標高だけを約100m減らせます。初心者やファミリーにはこちらをおすすめします。

「約70km・約1,000m」という数字との違い

しまなみ海道の距離は、一般に約70km・獲得標高約1,000mと紹介されることが多く、当サイトの別記事でもこの概数を使っています。

一方、実際に走って計測した数値は72.25km・815mでした。差が出る理由は次のとおりです。

数字 何を指すか
約70km 尾道〜今治のおおよその全長として広く使われる概数
約1,000m 正規ルートを基準にした概数。通る分岐によって変わる
72.25km / 815m 当サイトが実際に走って計測した数値(走行ルートはこの記事のリンク先で公開)

獲得標高はどの分岐を通るかで100m単位で変わるため、「正解の数字」は1つではありません。計画の目安としてお使いください。

2. とびしま海道(広島県呉市〜愛媛県今治市岡村島)

とびしま海道の起点となる安芸灘大橋

通称「裏しまなみ海道」。静かに走りたい人のコースです。

項目 内容
正式名称 安芸灘諸島連絡架橋ルート
距離(実走) 90.2km(一周)
獲得標高(実走) 858m
所要時間(実走) 4.5時間
構成 7つの島を7つの橋で結ぶ
通行料 安芸灘大橋のみ有料。自転車・歩行者は無料(普通車730円)
別名 裏しまなみ海道 / ミニしまなみ海道

渡る島は下蒲刈島・上蒲刈島・豊島・大崎下島・平羅島・中の島・岡村島の7つ。岡村島だけが愛媛県です。岡村大橋の上には広島県と愛媛県の県境があり、記念撮影スポットになっています。

しまなみ海道との5つの違い

ここを知らずに行くと苦労します。実走して感じた差です。

項目 とびしま海道
コンビニ ありません
自転車店 ありません(パンク修理は自力)
食事できる場所 非常に少ない
路面 荒れている箇所が多い(石畳区間もあり)
サイクリストの数 少ない

補給食と飲み物は多めに持ち、パンク修理は自分でできる装備で向かってください。これがとびしま海道でもっとも重要な準備です。

数少ない補給・休憩ポイントは「であいの館」(上蒲刈島)、「漁師料理 かつら亭」(蒲刈)、そして御手洗町並み保存地区です。御手洗を過ぎるとほとんど補給できないため、ここで必ず済ませてください。

車で行く場合の駐車場

本州側(呉市川尻町)に駐車場はありません。安芸灘大橋を渡ってすぐの無料駐車場がスタート地点になります。トイレもあります。

3. ゆめしま海道(愛媛県上島町)

ゆめしま海道のサイクリングコース

3海道でもっとも短く、もっとも登るコースです。

項目 内容
正式名称 上島架橋
距離(実走) 41.18km(3島一周・立石港発着)
獲得標高(実走) 729m
1kmあたりの登り 約17.7m(3海道で最大)
島 生名島・佐島・弓削島+岩城島
交通量 非常に少ない

しまなみ海道を半分にしたような景色で、交通量がかなり少なく、道路から海が近いのが魅力です。おすすめは海を見渡せる時計回りです。

2022年に4島がつながりました

もともと弓削大橋(1996年)と生名橋(2011年)で3島が結ばれていましたが、2022年3月20日に岩城橋(916m)が開通し、岩城島を含む4島が陸路でつながりました。

当サイトの実走データ41.18kmは、岩城橋の開通前に3島を走って計測した数値です。岩城島まで回る場合は距離・獲得標高ともに増えます。

補給は期待できません

最大の難所である弓削島の激坂区間と、佐島のUターンブルーライン方面は補給ポイントがほとんどありません。距離が短いからと油断せず、補給食は多めに持ってください。

レンタサイクルは生名立石港務所で借りられます。電動自転車からクロスバイクまで揃っています。

補給・設備で比べる

距離や標高よりも、実際の走りやすさを左右するのはこちらです。

項目 しまなみ海道 とびしま海道 ゆめしま海道
コンビニ あり なし ほぼなし
自転車店 あり なし なし
食事 豊富 非常に少ない 弓削島に数軒
レンタサイクル 15か所(乗り捨て可) 少ない 立石港務所
道案内 ブルーライン ブルーライン ブルーライン
路面状態 良好 荒れた箇所あり 良好
交通量 やや多い 少ない 非常に少ない
サイクリストの数 多い 少ない 少ない
とびしま海道の「ゆたか海の駅とびしま館」は閉館しています。かつては数少ない補給・休憩スポットでした。計画の際はご注意ください。

よくある質問

Q. 3つの海道で、初心者に一番おすすめはどれですか?

A. しまなみ海道です。距離は72.25kmと短くありませんが、ブルーラインで迷わず、コンビニも自転車店もあり、15か所の拠点で乗り捨てができます。途中でやめられる安心感が、初挑戦では何より重要です。

Q. いちばんきついのはどれですか?

A. 1kmあたりの登りで見ると、ゆめしま海道です。41.18kmと最短ですが約17.7m/kmで、しまなみ海道の約1.6倍、とびしま海道の約1.9倍です。弓削島には15%を超える激坂があります。ただし総量でいえば、90.2kmを走るとびしま海道が最も消耗します。

Q. とびしま海道は「裏しまなみ」と呼ばれますが、しまなみ海道の代わりになりますか?

A. 景色は匹敵しますが、設備はまったく違います。コンビニも自転車店もなく、食事できる場所も限られます。補給食を多めに持ち、パンク修理を自分でできることが前提のコースです。静けさと引き換えに、自己完結力が求められます。

Q. ゆめしま海道は何島を回れますか?

A. 現在は4島です。2022年3月20日に岩城橋が開通し、生名島・佐島・弓削島に岩城島が加わりました。当サイトの実走データ41.18kmは岩城橋の開通前に3島を走った数値のため、4島すべてを回る場合はこれより長くなります。

Q. 1日で回れますか?

A. しまなみ海道(片道)ととびしま海道(一周)はどちらも実走4.5時間で、観光を含めても1日で回れます。ゆめしま海道は距離が短いため半日程度ですが、激坂があるぶん時間に余裕を見てください。なお、しまなみ海道を往復する場合は1日では厳しくなります。

Q. とびしま海道の橋は有料ですか?

A. 自転車は無料です。7つの橋のうち有料なのは安芸灘大橋だけで、料金は普通車730円・軽自動車570円。歩行者と自転車は無料で渡れます。

Q. 車で行く場合、どこに停めればいいですか?

A. とびしま海道は安芸灘大橋を渡ってすぐの無料駐車場です。本州側の呉市川尻町には駐車場がありません。しまなみ海道で尾道側から出る場合は、尾道駅周辺の最大料金がある駐車場をまとめた記事をご覧ください。

Q. 獲得標高の数値はどこまで正確ですか?

A. 目安としてご覧ください。獲得標高はGPSの精度や記録間隔、通る分岐によって100m単位で変わります。この記事では3海道をすべて同じ方法で計測していますので、コース間の相対的な差を見る指標としてお使いください。

各海道の詳細ガイド

この記事で紹介した3海道は、それぞれ曲がる場所・迷いやすいポイントまで写真付きで解説しています。

しまなみ海道をもっと深く走る

しまなみ海道は島ごとに表情が違います。島単位のコースや、レンタサイクル・駐車場の情報もまとめています。

ほかの地域のコースと比べる

まとめ

コース ひとことで言うと
しまなみ海道 最初の1本。迷わず、やめられる
とびしま海道 最長だが最も平坦。ただし補給は自己完結
ゆめしま海道 最短なのに最もきつい。静けさは随一

3つの海道は、どれも距離だけでは難易度が測れません。「1kmあたりどれだけ登るか」と「補給できるか」の2つを見ると、自分に合うコースが決まります。

まずはしまなみ海道で島を走る感覚をつかみ、物足りなくなったらとびしま海道やゆめしま海道へ——という順番が、もっとも失敗しにくい進め方です。

岡山・瀬戸内を中心に、サイクリングコースを実際に走って記録しています。走行ごとに距離・獲得標高・コースマップ・所要時間を実測し、現地の写真とあわせて掲載。これまでにしまなみ海道、とびしま海道、片鉄ロマン街道、蒜山高原自転車道、下津井電鉄廃線跡、アワイチ(淡路島一周)、ビワイチ(琵琶湖一周)、シコイチ(四国一周)、マメイチ(小豆島一周)などを走行しました。

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